理事長挨拶

一般社団法人 福岡青年会議所
2023年度理事長所信


理事長 前川 裕貴

立ち止まらず、進み続ける

 1953年2月4日、全国で35番目のLOMとしてJCI福岡が設立し本年度で70周年を迎えます。戦後間もない日本で「未来のために」を考え復興に取り組み、その時代時代でのまちの弱みや強みを見つけ、解決や発展に取り組んできたからこそ、今のJCI福岡があります。
 現在、私たちが生きているこの時代では「ニューノーマル」や「新しい生活様式」などの様々な言葉で変化を告げています。この変化を「一時的な変化」と考えている人もいるかもしれません。しかし、私は「危機を乗り越えたから元のやり方に戻して通じる。」とは思いません。確定的な変化だということに気付かずに未来を描こうとしても、それは効果も共感も生まれない自己満足なものとなってしまいます。
 私たちJCは、ひとづくりを通して未来のまちを創っていく団体です。その未来をつくるために何をすべきでしょうか。私は過去を知り、今を理解し、今しかできないことを考え、行動に移す者にしか未来をつくることはできないと考えます。今の時代、立ち止まることがリスクとなるでしょう。だからこそ、どんな時も立ち止まらず、進み続けてきたJCが次代のために何をすべきか。過去に囚われ過ぎず未来に夢と想いをのせ、立ち止まらず、行動し続けていきましょう。

成功するための基盤を構築

 1958年、1977年、1989年に福岡の地で開催した、JCI日本主催の全国大会を2024年10月に、JCI福岡が4度目の主管LOMとして「公益社団法人日本青年会議所第73回全国大会福岡大会」を開催します。
 全国大会が有する5益というものが存在します。①地域益②主管益③参加者益④主催者益⑤社会益の5つです。その中でも、私たちLOMが重視すべきものは「地域益」ではないでしょうか。2021年度12月に開催の決定へと導き、2022年度はどのような大会にすべきかと夢を語り合ってきました。本年度は、今まで語り合ってきた夢であるFUKUOKAの発展を現実のものにするための準備の1年となります。
 私がJCに入会した当初、よく「準備が9割」という言葉を耳にしてきました。
 2022年度の全国大会準備会議で語り合ってきた夢は小さな目標ではなく、私たちが住み暮すFUKUOKAをより良い都市にしていくという壮大なものです。FUKUOKAをひと回りもふた回りも成長するためLOM全体で準備に取り組み、どんな問題が起ころうとも2024年度の第73回全国大会を大成功に終えることができるようにLOMの基盤をより強固なものとしましょう。

FUKUOKAをバックアップする

 今、私たちが住み暮す福岡はどんな都市でしょうか。日本国内の政令指定都市の中でも人口増加数、増加率1位、住環境の満足度も96%以上を誇り、企業進出も8年連続50社超えと、多くの雇用を創出しています。そんな中、福岡市では2012年よりアジアの交流拠点としての基本構想を立て、2016年には「FUKUOKANEXT」と題し、福岡を次なるステージへと飛躍させるチャレンジを進め、アジアのリーダー都市を目指し、取り組んできました。近年では、国際金融機能の誘致に向けた環境整備をすべくTEAMFUKUOKAを2020年9月に設立するなど、未来のために進み続けています。
 こんなに活気溢れる福岡で私たちができることがあるのか。成長し続ける都市で私たちが描く未来はこの波に乗れているのか不安になることがあります。しかし、この考えは過去のJCの在り方に縛られているからではないでしょうか。官民連携や官民共創がささやかれる今だからこそ、行政が見えない部分や動けないことこそが、私たちJCがすべきことだと考えます。足を使い課題解決に向けた働きこそが未来を発展させることにつながるでしょう。
 そしてそれは、JCだけですべきことではないと考えます。他団体、行政、民間企業と一緒になり、JCとして新たな関わりを増やしていくことでより良い波及効果につながります。共に活動するための連携、関係構築こそが、FUKUOKAにとって最大のバックアップとなるでしょう。

文化活用した福岡ファンづくりを

 心豊かな生活を実現していく上で不可欠なものは何でしょうか。それは、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びを与え、豊かな人間性の育成と創造性を育む「文化」です。文化の活用はFUKUOKAの存在感と住環境をより高めることができるのではないでしょうか。
 福岡には、食文化や伝統文化が根付いています。これらは現在もまちの特色として県内外の方にも知られています。しかし、2019年まで増加傾向にあった観光客数も2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響とはいえ激減してしまいました。行動を規制されていた状況を考えれば仕方がないことですが、私は観光客が来ていなかったことで違うチャンスが巡ってきていると考えます。福岡に他県や国外の方が来ていない今、地域に根付いた文化をより高める熟成期間と捉えることで、それが新たな観光資源を生み出し、多くのFUKUOKAファンを獲得できるきっかけとなるでしょう。
 特に本年は、新たな文化形成を実施していくチャンスの年だと感じています。2022年よりFukuokaArtNextの始動や、7月には2021年から延期になっていた世界水泳が2年越しにFUKUOKAの地で開催されます。国内外の観光客が福岡の地に来る絶好の機会です。この機に伝統的な文化や文化を活用した新たなFUKUOKAを知ってもらうことで、経済効果を生み出してくれると確信しています。だからこそ本年度は、文化に再注目し、文化を活用したまちづくりを実施し、新たなFUKUOKAファンを増やしましょう。

人財育成が未来を創る基盤となる

 JCには今も昔も変わらない、「すべきこと」があります。それはこの先も、明るい豊かな社会を創造し続けることです。現在進行形で明るい豊かな社会にするために活動、運動しているのが現メンバーだと私は考えています。しかし、私たちメンバーがすべきことを新しいメンバーに伝えていかない限り、永続して同じ方向に向かうのは難しくなるでしょう。だからこそ新入会の方々には初期段階で、団体としての存在意義や目的や理念の理解を深める研修を通じて、期待感を向上させJAYCEEとしての活動、運動をしたいと想ってもらえる育成が必要です。
 そして、未来のFUKUOKAで先陣をきって、より良い社会に導くのは誰でしょうか。それは、今の子供たちです。子供たちが本気でまちのことを考えてくれるためには、何よりもこの福岡を好きになってもらうことが必要と考えます。
 2019年より開始されたKidsJAYCEEやYoungJAYCEEの育成事業では能動的市民になるための経験や育成に力を入れてきました。次の段階として、キッズ世代においては、子供たち自身が住み暮す福岡に「郷土愛」が生まれる活動が必要です。また、ヤング世代はある程度の地域性を理解している年代だと捉えるべきだと考えます。彼らには郷土愛をもったうえでの運動を実践することこそがより必要となります。この活動、運動を経て高まる郷土愛こそ、このまちの原動力となり、FUKUOKAの基盤となっていくでしょう。

対内交流は未来創造の近道に

 JCの良さは「行動力」。
 JCI福岡には70年間歩んできた歴史があり、先人たちが活動、運動してきた足跡を知ることは行動力を発揮するための大きなヒントになります。その先人たちの言葉には、多くの知識と経験があり、学びを感じることができるでしょう。その学び場をつくるには私たち自身で足を使い交流の場を設けることが必要となります。
 また、LOMとしては対外と認識していますが、同じ志をもつ仲間の存在があります。それは各地LOMの存在です。これまで我々は、福岡県各地にある21LOMとの関係性に少し遠慮しすぎてきていたのではないでしょうか。本来であれば私たちの住み暮らすまちのことを考えれば、さらにその連携を強化する必要があると感じています。今すぐに共同事業を実施することは難しいとしても、関係の構築を推進していく動きをとっていくべきです。県下21LOMのことを対内と同じように思える関係性を構築し、連携することでより良いFUKUOKAを形成していくことができるでしょう。
 そして、交流には「経験と知識」を「情報」として伝える機能があります。情報の共有を行うことで、それはLOMの財産へと昇華していきます。また、行動力にはJCI福岡に引き継がれてきた「仲間のためを想い動く行動力」というものもあり、メンバーの状況を理解するために近くで活動内容を確認することや、膝と膝を付き合わせて想いを語り合うことを行ってきています。行動力を活かしてLOM内で情報を共有していくこと、そしてそこから生まれる夢や想いの共有こそLOMが一体となる手段であり、未来を創造するための芯となるでしょう。

意思統一とシステムの熟知が行動力のカギに

 JCとしての活動、運動を行っていくには、必ず検討し、徹底していくべきことがあります。LOMの指針との整合性、多角的な議論、コンプライアンスの徹底の3点です。
 私たちは単年度制の団体であるからこそ、この点を基軸に定期的に意思統一を図る機会を作り、その時々にあった情報共有と意思の再確認を行うことが重要です。そしてその最たるものは議案を通して行われます。LOMの指針に沿った議案が作成され、それを基に議論が行われ、コンプライアンスの徹底により事業に信頼が寄せられる。しかし、近年は議案に対する苦手意識が強くなっているように感じています。その原因はシステムに対する理解不足と経験不足によるものです。これらを解決できれば、より良い議論が交わされる会議となり、より意思統一がされ、事業への展開が可能となるでしょう。
 そして、そのシステム理解によって、効率的な活、運動も可能となるのではないでしょうか。時間は限られたものです。理解不足によって立ち止まってしまわないためにも今一度、JC、LOMとしてのシステムの熟知というものが必要になってきます。

FUKUOKA の発展を同志と共に続けよう

  このJCI福岡が70年間存続してきた理由は何でしょうか。私は「同じ志をもつメンバー」が常にいたからだと考えます。私たちが未来に向けた様々な計画を実施しても、メンバーがいなければ何も実施できず、なんの効果も生み出すことはできなくなるでしょう。未来のまちを創っていくためには、これからを担うメンバーを拡大し続けることは最重要事項です。
 近年、在籍年数の短期化がLOM内の問題を引き起こしている可能性はないでしょうか。在籍年数が短いことは、経験不足によって組織としての役割不足に陥ってしまうなど団体の弱体化を引き起こす可能性があります。これまでLOM内に拡大委員会を設置し担当委員会として拡大を第一に活動をしていましたが、他委員会との連携でスピード感が落ち、拡大対象者を逃すことにつながっていました。そもそも、拡大はメンバー一人ひとりに課せられた所務だと考えるべきことを、委員会所務や担当委員会所務として他人事の考えになっているのが現状です。
 そういったことから今までの拡大手法に加え、新たな手法も考えていくべきだと感じています。また、時代が変化し続けているのにも関わらず入会条件は大きな変更がありません。変更することが前提ではありませんが、現状の条件が適したものか、また時代に沿ったものになっているかも検討する必要があります。
 新たなメンバーが増え、毎年のように様々な在籍年数の入会希望者を受け入れることでJCI福岡が今までと変わらず、住み暮す福岡で活動、運動を展開し、発展し続けることができるでしょう。

今ではない。未来のためにできること

 JCには、LOM以外にもJCI日本や九州地区協議会、福岡ブロック協議会などLOMでは経験できないことを経験できる機会があります。「個の成長」「LOMの成長」「まちへの貢献」など一見LOMでもできることだと感じる部分ですが、LOMと出向の両方を同時に経験することは2倍以上の効果があると確信しています。外から見ないと気がつかない気づき、例えば、他のLOMと比較したときのJCI福岡の優れている部分と改善点や、福岡のまちの特徴など、そして出向組織特有の多様な発想や活動など、広く行動すればするほどその機会はあなたの視野を広げ柔軟な発想を生み出してくれます。
 2024年度に控える全国大会を成功するために基盤構築は必要な準備だと記載しましたが、出向し見聞を広めることもまた個々でできる準備の一つです。LOMの意識を統一し、一体感をもち出向先でも行動することで全国大会への期待を内外へ与えることができるのではないでしょうか。メンバー各々の各地での経験、各地での気づきが未来につながり、次代のためとなる活動、運動になるでしょう。
 いつの時代であっても私たちは「時代にあったこと」をするのではなく「次代のためにできること」をするべきであると考えます。70周年を迎え、次代を考え行動していくことは脈々と受け継がれてきたJCI福岡としての伝統そのものです。そこで、2024年度に全国大会の主管を迎えるこのタイミングの中、私たちはLOMだけではなく少し視野を広げた考え方も必要となってくるでしょう。

KEEP GOING

 メンバー同士の交流、対外の方との交流、事業の準備、事業の計画など、様々なことに想いを乗せて本気でやってみませんか。「仕事を控えめにしてほしい。家族との時間を割いてほしい。」ということではありません。ただ、JCに関わる時間に本気で取り組んでほしいのです。私自身、本気でJCしてきました。煙たがられることや仲間との衝突もあり、辛いことや苦しいことを感じることもありました。しかし、同時に喜びや楽しみを感じること、JCメンバーが好きだと感じることの方が多くありました。本気で向き合うことで、そこで感じた「喜怒哀楽」が私自身を成長させてくれました。個の成長に必要なことは、近くにいる仲間のことを考え、自分をさらけ出すことだと確信しています。
 「自分だけ、自分たちだけ」ではJCとしての存在意義はありません。私たちJCは「ひとづくりを通して未来のまちを創っていく」団体です。今の時代、未来を感じ、どんなFUKUOKAにしたいか。壮大なストーリーを描き続けるしかありません。
 無謀と思える未来でも、実現困難な夢でも。この1年何をすべきか、どう動くべきか。壮大なストーリーに追いつくためには進み続けるしかありません。

バカげた夢でも、ぶっ飛んだことでも、
ひとりではなく、同じ志を持つ仲間と共に
「家族のため」「社員のため」「仲間のため」
「FUKUOKA のため」
感謝の気持ちを忘れず、
明るい豊かな社会の実現を目指し、挑戦しよう!

立ち止まらず、進み続けよう!!